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個人事業廃業時における消費税法上のみなし譲渡

2022/04/01

[相談]

会計事務所の新人職員です。

担当している個人商店のオーナー(消費税課税事業者)が、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響による売上高の低迷を受け、廃業を決断されました。

廃業に伴い、商品配送用車両をオーナー個人の私用車として転用する予定です。

そこで確認したいのですが、その転用は、消費税法上の「みなし譲渡」に該当するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

[回答]

ご見解のとおり、個人事業の廃業に伴う事業用車両の私用車への転用は、消費税法上のみなし譲渡に該当しますので、事業廃止の日の属する課税期間に係る消費税の申告が必要となります。

[解説]

1.個人事業者における、消費税法上のみなし譲渡とは

消費税法上、個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、又は使用した場合におけるその消費又は使用は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす(みなし譲渡)と定められているため、消費税が課税されます。

2.個人事業者が事業を廃止した場合のみなし譲渡

個人事業の廃止に伴い事業用資産に該当しなくなった車両等の資産は、原則として、事業の廃止時において家事のために消費または使用したものとして、上記1.のみなし譲渡を行ったものとして取り扱うこととされています。

3.みなし譲渡における消費税の課税標準

消費税法上のみなし譲渡の場合における消費税の課税標準については、事業の廃止時におけるその資産の通常売買される価額(時価)に相当する金額を対価の額として、その事業を廃止した日の属する課税期間の課税標準額に含める必要があることとされています。

なお、財務省によれば、「棚卸資産以外の資産の消費税の課税標準額に計上する資産の価額に相当する金額は、原則として、その資産の時価になるが、資産の状況等によっては未償却残高も一つの指標となり得る」とされています。

また、ご相談の個人事業者が消費税簡易課税制度を選択適用している場合には、事業用資産の譲渡であることから、簡易課税制度上の事業区分は第4種事業に該当するという点にもご留意ください。

[参考]

消法4、28、37、消基通13-2-9、国税庁タックスアンサー6603「個人事業者が事業を廃止した場合」、会計検査院「平成30年度決算検査報告」など

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