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電子帳簿保存法/見積書の相手方への提出が複数回に及ぶ場合に保存すべきもの

2022/10/03

[相談]

私が経営する会社では、主に店舗やオフィスの内装工事業を行っています。

慣習上、顧客から最初の問い合わせを受けてから着工するまでに、値引き要請を受けたり、他社との相見積もりになったりすることが多いため、見積書は複数回その内容を変更して再作成し、その都度相手方に提出しています(なお、見積書については最初の段階から一貫してパソコンを使用して作成しています)。

そこでお聞きしたいのですが、電子帳簿保存制度にもとづいて、それらの見積書を紙ではなく電磁的記録により保存しようとする場合、保存すべき見積書に係る電磁的記録は、最終のものだけでよいのでしょうか。

[回答]

ご相談の場合、最終のものだけでなく、相手方に交付したすべての見積書に係る電磁的記録を電子帳簿保存制度にもとづいて保存する必要があります。

[解説]

1.電子帳簿保存制度における「国税関係帳簿書類」とは

法人税法上、青色申告の承認を受けている内国法人は、一定の帳簿書類(※1)を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、その帳簿書類を保存しなければならない(※2)と定められています。

電子帳簿保存制度では、上記のような国税に関する法律の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿(国税関係帳簿)と、国税に関する法律の規定により保存をしなければならないこととされている書類(国税関係書類)をあわせて、「国税関係帳簿書類」と呼んでいます。

※1 帳簿とは、仕訳帳や総勘定元帳などのことをいい、書類とは、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書、見積書などのことをいいます。

※2 保存義務のある帳簿書類には、取引に関して、相手方から受け取った契約書や領収書等だけでなく、自己の作成した書類で、その写しのあるものについてはその写しも含まれます。

2.国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存

上記1.の国税関係帳簿書類のうち、自己が最初の段階から一貫してパソコンを使用して作成しているものについては、一定の要件の下で、紙での保存に代えて、電磁的記録(※3)による保存が認められています。

このとき、見積書や請求書のように相手方に交付する書類については、電子帳簿保存制度上「実際に相手方に交付した時点における電磁的記録」を保存することが必要とされています。

このため、今回のご相談のように、見積り内容の変更の都度、相手方に見積書を提出しているような場合には、そのすべての見積書に係る電磁的記録を保存する必要があることとなります。

※3 電磁的記録とは、その情報がハードディスクやクラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存された状態にあるものをいいます。

[参考]

法法126、法規59、電子帳簿保存法2、4、国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】」(令和4年6月)

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