• TOP
  • トピックス
  • 新型コロナ関連/改正された所得拡大促進税制における産業雇用安定助成金の取扱い

Topics

トピックス

新型コロナ関連/改正された所得拡大促進税制における産業雇用安定助成金の取扱い

2021/10/15

[相談]

会計事務所に勤務する者です。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、担当している会社が、雇用維持のためにその従業員を子会社へ出向させることとなりました。

その会社は、その出向にかかる給与について国の「産業雇用安定助成金」の申請を行うことになったのですが、その産業雇用安定助成金を受給した場合、令和3年度税制改正後の所得拡大促進税制の適用における留意点を教えてください。

[回答]

ご相談の産業雇用安定助成金については、改正後の所得拡大促進税制の適用における調整雇用者給与等支給増加額の計算にあたって、その受給額を雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額それぞれの金額から控除する必要があります。

[解説]

1.産業雇用安定助成金の概要

産業雇用安定助成金とは、雇用保険法の規定による雇用安定事業として、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を国が助成する制度です。

この制度は令和3年2月5日に創設されましたが、当初は、親会社と子会社の間の出向など資本的・経済的・組織的関連性などからみて「独立性が認められない」出向については支給対象外とされていました。

それが制度改正により、令和3年8月1日以降に新たに開始される出向については、独立性が認められない子会社間などの事業主間で実施される出向についても、新たにその助成対象に加えられています。

2.産業雇用安定助成金を受給した場合における所得拡大促進税制の適用への影響

令和3年度税制改正後の所得拡大促進税制の税額控除額は、原則として、その中小企業者等のその事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の15%と定められています。

控除対象雇用者給与等支給増加額は、その中小企業者等の雇用者給与等支給額からその中小企業者等の比較雇用者給与等支給額を控除して計算されますが、その金額がその中小企業者等の適用年度の調整雇用者給与等支給増加額を超える場合には、その調整雇用者給与等支給増加額が上限となります。

その調整雇用者給与等支給増加額は、産業雇用安定助成金を含めた「雇用安定助成金額(※)」を控除した雇用者給与等支給額から、同じく雇用安定助成金額を控除した比較雇用者給与等支給額を控除することによって計算されるため、産業雇用安定助成金を受給した場合には、調整雇用者給与等支給増加額ならびに税額控除額に影響が生じることとなります。

※雇用安定助成金には、産業雇用安定助成金のほか雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金などが該当することとされています。

産業雇用安定助成金の制度改正により、その制度を活用したグループ会社間での出向が増加することが考えられますので、そのような場合には、改正後の所得拡大促進税制の税額控除額の計算にあたって充分に留意する必要があるでしょう。

[参考]

措法42の12の5、雇用保険法62、厚生労働省「産業雇用安定助成金ガイドブック」、厚生労働省「制度改正のお知らせ 独立性が認められない子会社間などの「在籍型出向」も産業雇用安定助成金の助成対象になります」など

Contact

お問い合せ

Tel. 03-5224-0222

Fax. 03-5224-0223

〒100-0004 東京都千代田区大手町1丁目6番1号 903区