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医療法人社団の決算時の手続き

2020/11/30

[相談]

 医療法人社団(持分あり)の法人です。

 ①理事長の登記について
 医療法では「役員の任期は2年を超えることができない」とありますが、持分ありの医療法人社団でも例外などはないでしょうか。また理事と監事は登記事項ではないのでしょうか。

 ②2期連続赤字について
 3月決算法人ですが、前期は黒字、今期は赤字となりました。理事長は「たしか2期連続赤字だと理事の報酬を下げないといけなかったと思う」と言っていますが、根拠が見当たりません。もし来期も赤字ならばどのタイミングで誰がどれくらいの役員報酬をさげるのでしょうか。

 ③都道府県への届出資料
 過去に「登記事項変更登記完了届」「決算届」を届けています。他に医療法人が提出しておかなければいけない書類はありますか。

 ④持ち分と社員の議決権
 医療法人社団の持分ありでも社員の議決権は一人1個でしょうか。持分割合で議決権があるのでしょうか。

[回答]

 ①理事長の登記について
 ご質問の通り、役員の任期は2年を超えることはできないと規定されております(医療法第46条の2第3項)。また、役員に関する事項につきましては理事長のみ登記事項となっており、理事と監事は登記事項ではございません。

 ②2期連続赤字について
 2期連続赤字の場合、理事の報酬を下げなければならないといった決まりはありません。しかし、ご存知かと思われますが、医療法人は剰余金の分配が認められておらず、この剰余金の分配に抵触する恐れがあることから、そのような解釈となったのかもしれません。

 厚生労働省より、『医療法人の剰余金の使途の明確化について』というものが公表されておりますが、その中におきましても

「役員報酬が法人の資産・収入の状況からみてあまりに多額になると、公益性を有する法人として不適切な利益分配となるおそれがあり、かつ、公益的事業を圧迫する可能性があることから、役員報酬が不当に高額であることは適当ではない。」

 と明記されております。

 しかし、一方で、

「適正な役員報酬等について、すべての公益性を有する法人に対し一律に基準を設けることは困難であり、法人運営に必要な人材を確保する観点からも、適正な役員報酬等のあり方については、公益性を有する法人の自律性を尊重することが望ましい。」

ともされております。

 よって、同規模同業種同診療科の相場と比較して不相当に高額でなければ、ただちに問題となることはないかと思われますが、大幅に赤字が続くような事態とあっては、報酬の減額も視野に入れる必要があるかと思われます。

 ③都道府県への届出資料
 都道府県に提出すべき書類はご質問の通りで差し支えないかと思われます(監事監査報告書は当然作成されているものとして回答させていただいております。医療法第52条第1項、第2項)。先述の登記事項につきましては、資産の総額変更登記が毎年必要となりますので(組合等登記令第3条第3項)、都道府県へも毎年提出する必要がございます。
 また、都道府県によりましては、重任の場合でも役員変更届の提出を求めてくることがありますので、所轄の主務官庁に確認をされることをお勧め致します。

 ④持ち分と社員の議決権
 持分ありの医療法人におきましても、出資持分の多寡にかかわらず社員の議決権は一人1個の議決権を有すると規定されております(医療法第48条の4)。

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