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成年年齢引下げに伴う贈与税率の改正/相続時精算課税

2022/09/15

Q.今月のご相談

いくつかの財産を今年(2022年)中に生前贈与しようと思います。受贈者のうち、今年4月に高校3年生になった孫を含めようと思っていますが、この孫は、相続時精算課税制度を適用することはできるのでしょうか。

孫は2004年8月生まれです。

A-1.ワンポイントアドバイス

2022年1月1日現在、お孫さんは18歳ではないため、2022年中の贈与について相続時精算課税制度を選択して適用することはできません。

A-2.詳細解説

1.相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、贈与を受けたときの贈与税の計算において、自ら選択することで適用することができる制度です。

その特徴としては、主に以下のとおりです。

通常の贈与税の計算(暦年課税による計算)とは違い、原則、この制度を選択して贈与を受けた財産の合計額が累積で2,500万円を超えるまで贈与税は課されず、超えた段階から一律20%の税率で贈与税が課されます。

この制度を適用することができるのは、原則、父母又は祖父母から贈与を受けた子又は孫であり、それぞれに年齢制限があります。

この制度を選択した場合には、その後の相続時精算課税に係る贈与者からの贈与については、相続時精算課税制度を適用して贈与税の計算をしなければなりません。

相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった場合には、相続時精算課税制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)の合計額を相続財産として他の相続等により取得した財産と合算して相続税を計算した上で、すでに納めた贈与税額がある場合には、相続税額から控除して相続税額を算出します。その際、控除しきれない贈与税額があるときは、相続税の申告をすることで還付を受けることができます。

なお、贈与者と受贈者の年齢制限については、以下のとおりです。

その年1月1日現在の年齢 贈与者 60歳以上 受贈者 20歳以上 (2022年4月1日以後は18歳以上)

2.成年年齢引下げに伴う改正

これまで成年年齢が「20歳」であったため、受贈者の年齢について、贈与の年の1月1日現在において「20歳以上」か否かで判定をしてきました。

これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、年齢要件が「18歳以上」と改正されて、「18歳以上」か否かで判定することとなりました。

この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため、2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え、「何月の贈与」なのかも確認しないと判断できないこととなります。

3.ご相談のケース

ご相談のケースは、2022年1月1日現在、お孫さんは17歳です。そのため、仮に2022年4月1日以後に贈与をしたとしても、受贈者の年齢要件を満たすことはできないため、相続時精算課税制度を選択適用することはできません。

なお、仮に贈与を実行した場合には、暦年課税により贈与税を計算することとなります。その場合においても、2022年1月1日現在のお孫さんの年齢は17歳であることから、2022年中の贈与は「一般税率」を適用して贈与税の計算を行うこととなります。

<参考>

国税庁HP「No.4103 相続時精算課税の選択」、「民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」PDFなど

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