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新型コロナ関連/健康保険制度上のワクチン接種業務による収入の特例と所得税

2021/07/15

[相談]

 会計事務所に勤務する者です。

 私が担当している医療法人では、新型コロナウイルスワクチンの接種を行っています。

 そのことに関連し、その医療法人から「新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職のワクチン接種業務によって得た収入が、被扶養者判定の際の年間収入に算入しないと聞いたが、本当か。」との質問がありました。

 所得税法上、新たにそのような制度が設けられたのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の内容は、健康保険制度上の被扶養者判定(および国民年金の第3号被保険者の認定)に関する特例であり、税務上はそのような取扱いは設けられていません。

[解説]

1.健康保険法上の被扶養者

 健康保険法上、「被扶養者」とは、

  ①被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの

  ②被保険者の3親等内の親族で①に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

等と定められています。 

 また、健康保険法上の被扶養者として認定されるための収入の基準は、認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合には、原則として130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らないこととされています。

 なお、上記の「収入」には、所得税法上非課税とされる通勤手当も含めることとされています。

2.新型コロナワクチン接種業務に従事する医療職の被扶養者の収入確認の特例の概要

 厚生労働省は、上記1.の健康保険の被扶養者の認定について、本年の新型コロナウイルスワクチン接種業務が例年にない対応として期間限定的に行われるものであり、また、特にワクチン接種業務に従事する医療職の確保が喫緊の課題となっているという特別の事情を踏まえ、令和3年6月4日付で特例を設ける旨の通知を発出しました。

 具体的には、医療職(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士及び救急救命士)がワクチン接種業務に従事したことによる給与収入については、上記1.の被扶養者の認定における収入には算定しないこととされています。

 ただし、上記の特例は健康保険の被扶養者認定(および国民年金の第3号被保険者の認定)のみに係る取扱いとされているため、所得税法上の非課税所得、扶養親族、控除対象配偶者等の取扱いに影響を及ぼすものではありません。

 今回の特例については、「扶養」という言葉が先行し、今後も同様の質問が他の医業関与先や関与先の医療職従業員から寄せられることが十分に考えられますので、きちんと説明できるよう、あらかじめ準備をしておくと良いのではないかと思われます。

[参考]

 所法9、健康保険法3、厚生労働省「日本国内に住所を有する被扶養者の認定事務について」(平成30年8月29日保保発0829第1号)、「国民年金法における被扶養配偶者の認定基準の運用について」(昭和61年4月1日庁保険発18号)、「新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職の被扶養者の収入確認の特例について」(令和3年6月4日保保発0604第1号)、「新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職の被扶養者の収入確認の特例に関するQ&A(被保険者・被扶養者向け)」など

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