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会社が解散した場合のみなし事業年度2

2021/03/15

[相談]

 会計事務所に勤務する者です。
 このたび、担当している株式会社(5月31日決算)が新型コロナウイルス感染症の影響により経営状況が悪化し、破産手続き開始の決定を受けたため、解散することになりました。
 解散の日は、令和3年1月31日です。
 この場合、法人税法上のみなし事業年度はどの期間となるのでしょうか。
 なお、その会社の破産手続きは終了していません。

[回答]

 ご相談の場合、令和2年6月1日から令和3年1月31日までの期間と、令和3年2月1日から令和3年5月31日までの期間がそれぞれ、解散した会社の事業年度とみなされることとなります。

[解説]

1.法人税法上の事業年度とみなし事業年度

 法人税法上、「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で、法令で定めるもの又は定款等に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は納税地の所轄税務署長が指定した会計期間等をいうものと定められています。

 なお、その期間が1年を超える場合は、その期間をその開始の日以後1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、その1年未満の期間)が、法人税法上の事業年度となります。

 また、法人税法上、内国法人が事業年度の中途において解散をした場合には、原則として、その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度終了の日までの期間をその法人の事業年度とみなすことと定められています(みなし事業年度)。

2.法人が事業年度の中途で破産手続き開始の決定により解散した場合の、みなし事業年度

 法人税法上、株式会社等が解散し清算を開始した場合には、定款等で定めた事業年度開始の日から解散の日までの期間についてみなし事業年度が生じます。

 続いて、解散の日の翌日から会社法上の清算事務年度(解散等の日の翌日から1年間)終了の日までの期間について、みなし事業年度が生じます。

 しかしながら、破産手続き開始の決定による解散の場合で、その破産手続きが終了していない場合には、上記の清算事務年度の適用はありません。

 このため、破産手続き開始の決定による解散の場合には、その事業年度開始の日から解散の日までの期間と、解散の日の翌日から定款等で定めた事業年度終了の日がそれぞれ、みなし事業年度となります。

 以上より、今回のご相談の場合には、令和2年6月1日から令和3年1月31日までの期間と、令和3年2月1日から令和3年5月31日までの期間がそれぞれ、法人税法上のみなし事業年度となります。

[参考]

 法法13、14、法基通1-2-9、会社法471、475、494など

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