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倒産防止共済掛金を資産計上した場合の取扱い

2021/06/15

[相談]

 会計事務所に勤務する者です。

 このたび、担当している会社が、新たに倒産防止共済を始めることになったのですが、その会社社長に、倒産防止共済掛金を会計上の費用として処理する旨を説明したところ、「決算書上で掛金累計額を把握したいので、資産計上できないか」との相談がありました。

 そこでお聞きしたいのですが、法人税法上、倒産防止共済掛金を資産計上した場合、損金算入は認められるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 倒産防止共済掛金を資産計上した場合であっても、他の法人税法上の要件を満たしていれば、損金算入は認められるものと考えられます。

[解説]

1.倒産防止共済制度の概要

 倒産防止共済(経営セーフティ共済)制度とは、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための共済制度です。

 倒産防止共済制度加入者は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるため、共済契約に基づき掛金を支払います。

 加入者は、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金(または必要経費)に算入できる税制優遇も受けられます(詳細は下記2.参照)。

2.倒産防止共済掛金の取扱い

 法人税法上、法人が、各事業年度において、長期間にわたって使用され、又は運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金で一定のものを支出した場合には、その支出した金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入すると定められています。

 上記の負担金又は掛金には、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための共済契約に係る掛金(倒産防止共済掛金)が含まれていますので、倒産防止共済掛金は各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます。

3.倒産防止共済掛金を資産計上した場合の取扱い

 上記2.の規定は、倒産防止共済掛金を損金経理することは要件とされていません。したがって、今回のご相談の場合のように、倒産防止共済掛金を資産計上した場合には、別表4で減算・留保することにより、損金の額に算入することができます。

 なお、この規定は、法人税確定申告書に倒産防止共済掛金の損金算入に関する明細書(別表10(7)、適用額明細書)の添付がない場合には、原則として適用しないとも定められていますので、この点には注意が必要です。

[参考]

措法66の11、独立行政法人中小企業基盤整備機構ホームページなど

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