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青色事業専従者とひとり親控除・寡婦控除
2021/11/15
[相談]
私は個人で美容院を経営しており、所得税の青色申告を行っています。毎年の所得金額は400万円程度です。
ところで、今年から娘(私と一緒に生活しています)が私の経営する美容院で従業員(青色事業専従者)として働いてくれているのですが、その娘について、私はいわゆる「ひとり親控除」の適用を受けることはできるのでしょうか。
なお、娘の今年の所得金額は48万円以下の見込みであり、また、私には結婚歴はありません。
[回答]
ご相談の場合、ひとり親控除の適用を受けることができるものと考えられます。
[解説]
1.所得税法上のひとり親とは
所得税法上のひとり親とは、現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死の明らかでない人で一定の人のうち、次に掲げる要件を満たす人をいいます。
イ)その人と生計を一にする子で、その年分の所得金額が48万円以下の子(※1)がいること。
ロ)その年分の所得金額が500万円以下であること。
ハ)その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
所得税法では、納税者が上記のひとり親である場合には、その人のその年分の所得金額から35万円を控除すると定められています。
※1 他の人の同一生計配偶者又は扶養親族とされている人を除きます。
2.ひとり親と寡婦との違い
所得税法には、ひとり親と似たような定義を持つ言葉として「寡婦(かふ)」がありますが、寡婦とは、次に掲げる人でひとり親に該当しない人をいうと定められています。
イ)夫と離婚した後婚姻をしていない人のうち、次に掲げる要件を満たす人
① 扶養親族を有すること。
② その年分の所得金額が500万円以下であること。
③ その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
ロ)夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死の明らかでない人で一定の人のうち、イ)の②と③の両方の要件を満たす人
所得税法では、納税者が上記の寡婦である場合には、その人のその年分の所得金額から28万円を控除すると定められています。
寡婦がひとり親と異なる点は、
①寡婦は対象者が女性に限定されていること、
②寡婦は過去に結婚歴がある人を前提としていること、
③寡婦は扶養親族がいることを要件としている(※2)のに対し、ひとり親は所得金額が一定額以下の「子」がいることが前提とされていること、
④控除額がひとり親の場合は35万円であるのに対し、寡婦の場合は28万円であること、
などです。
※2 夫と死別した場合には、扶養親族がいなくても他の要件を満たしていれば寡婦に該当します。
3.子が青色事業専従者である場合のひとり親控除の適用可否
上記1.で述べた通り、所得税法上のひとり親の要件には、子が(青色)事業専従者であるかどうかという要件は含まれていません
このため、今回のご相談の場合は、ご相談者が他の要件を満たす限り、ひとり親控除の適用を受けることができるものと考えられます(なお、寡婦控除についても同様です)。
[参考]
所法2、80、81、所令11、11の2など
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