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仮想通貨(暗号資産)の法人税法上の期末評価方法

2021/06/01

[相談]

会計事務所に勤務する者です。  

ここ最近の仮想通貨(暗号資産)価格の高騰を見た担当先の会社社長から、法人で仮想通貨(暗号資産)を保有したいとの相談がありました。そこで、法人で仮想通貨(暗号資産)を保有した場合の法人税法上の期末評価方法の概要について教えてください。

[回答]

法人税法上、①法人が事業年度末に有する仮想通貨(暗号資産)のうち、活発な市場が存在する仮想通貨(暗号資産)については、時価評価により評価損益を計上すること、②法人が事業年度末に有する末決済の仮想通貨(暗号資産)の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上することが定められています。

[解説]

1.企業会計基準における仮想通貨の期末評価方法

 企業会計基準では、保有する仮想通貨(暗号資産)について「活発な市場が存在する場合」には、市場価格に基づく価額をもってその仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理することとされています。  

   反対に、保有する仮想通貨について活発な市場が存在しない場合には、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における処分見込価額が取得原価を下回る場合には、その処分見込価額をもって貸借対照表価額としたうえで、取得原価とその処分見込価額との差額は当期の損失として処理することとされています。

  なお、「活発な市場が存在する場合」とは、「保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合」をいうものとされています。

2.法人税法における仮想通貨(暗号資産)の期末評価方法

 法人税法では、仮想通貨(暗号資産)の期末評価方法について、上記1.の企業会計基準に沿って次のように定められています。 ①法人が事業年度末に有する仮想通貨(暗号資産)のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。 ②法人が仮想通貨(暗号資産)の譲渡をした場合の譲渡損益は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度において計上する。 ③仮想通貨(暗号資産)の譲渡に係る原価の額を計算する場合における1単位当たりの帳簿価額の算出方法は移動平均法又は総平均法とし、法定算出方法は移動平均法とする。 ④法人が事業年度末に有する末決済の仮想通貨(暗号資産)の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。  

   ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の取引価格は短期間で大きく変動する傾向が見られることから、法人で仮想通貨(暗号資産)を保有した場合、決算期直前で法人税等の納税額が大きく増減する可能性があるのではないかと考えられます。  

   このため、今回のご相談のように、仮想通貨(暗号資産)を保有しようとする、あるいはすでに保有している法人には、法人税申告時期の資金繰りについて、会計事務所からの的確なサポートが必要になってくるのではないかと思われます。

[参考]

 法法61、法令118の6、118の7、国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」(令和2年12月18日)、資金決済に関する法律2、企業会計基準委員会「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」(平成30年3月14日)など

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