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赤字会社が支出した使途秘匿金の法人税額への影響

2021/08/16

[相談]

私が経営する会社では、諸般の事情により地元の有力者に100万円の支出(取引の対価ではない支出)を行いました。

その支出は現金で行いましたが、支払先等を明らかにできないことから帳簿書類に支払先の記載はせず、また、領収書等の証拠書類も一切残っていません。

今年度決算は上記100万円の支出がなかったとしても赤字(法人税法上の課税所得もマイナス)なのですが、上記支出は当社の今年度決算における法人税の額に影響があるのでしょうか。

[回答]

ご相談の場合、今年度の法人税申告において40万円の法人税を納付する必要があります。

[解説]

1.法人税法上の使途秘匿金制度の概要

法人が相手先を秘匿する支出(使途秘匿金の支出(※))については、違法行為や不当な支出につながりやすく、また、公正な取引を阻害することや支出先の脱税を助けかねないことから、法人税法では、法人の使途秘匿金の支出について法人税を納める義務があるものと定められています。

具体的には、法人が使途秘匿金の支出をした場合には、その法人に対して課税される各事業年度の所得に対する法人税の額は、法人税法の規定により計算した法人税の額に、その使途秘匿金の支出の額に40%の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とすると定められています。

なお、法人が金銭の支出の相手方の氏名等をその帳簿書類に記載しているかどうかの判定(使途秘匿金に該当するかどうかの判定)は、原則として、各事業年度の所得に対する法人税に関する金銭の支出についてはその事業年度終了の日の現況によると定められています。

※使途秘匿金の支出とは、原則として、法人がした金銭の支出のうち、相当の理由がなく、その相手方の氏名・名称・住所・所在地とその事由をその法人の帳簿書類に記載していないものをいいます。

2.赤字会社が使途秘匿金を支出した場合の取扱い

上記1.の規定は、その法人のその事業年度の決算が黒字であるか赤字であるかにかかわらず、使途秘匿金の額に40%の税率で法人税が課税されるものです。

このため、今回のご相談のような赤字決算の法人であっても、その使途秘匿金の額の40%相当の法人税(今回のご相談の場合は100万円×40%=40万円)を納付する必要があることとなります。

また、法人税額を基準として課税される地方法人税や法人住民税についても、上記の法人税とあわせて納付することとなります。

[参考]

法法62、法令38、法基通9-7-20など

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