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確定申告で基礎控除額が0円になる場合とは

2021/03/15

[相談]

 私は個人で賃貸マンションを経営しており、その不動産所得は毎年3,000万円以上あります。また、所得税確定申告は地元の商工会議所で記帳指導を受け、会計ソフトに入力しながら自分で申告書まで作成し、提出しています。

 ところで先日、令和2年分の所得税確定申告書を会計ソフトで作成したところ、不動産所得は令和元年とほとんど変わっていないのに、所得税額が増加していることに気づきました。
 原因を調べたところ、令和元年分所得税確定申告書第一表には記載されていた「基礎控除38万円」が、令和2年分には記載されていないことが分かりました。
 これは、会計ソフトの不具合によるものでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の件は、会計ソフトの不具合ではなく、税制改正によって基礎控除額が0円となったことが原因と考えられます。

[解説]

1.基礎控除の概要

 所得税法上の基礎控除とは、令和元年分までは所得金額の多寡にかかわらず、一律で38万円を所得金額から差し引くことができるという制度でした。
 しかし、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要は乏しいのではないかとの指摘がなされてきたこと等を踏まえ、平成30年度税制改正により、令和2年分の所得税からは、所得が一定以上の金額となった場合には基礎控除額が逓減し、さらに、一定額を超える所得がある場合には基礎控除額が0円となる仕組みに改められました。

2.基礎控除額の具体的な金額

 令和2年分所得税からの基礎控除額は、合計所得金額2,400万円超で基礎控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する(0円になる)仕組みに改められました。
 具体的には下記のとおりです。

 ①その年分の納税者の合計所得金額が2,400万円以下である場合 …48万円
 ②その年分の納税者の合計所得金額が2,400万円を超え、2,450万円以下である場合 …32万円
 ③その年分の納税者の合計所得金額が2,450万円を超え、2,500万円以下である場合 …16万円
 ④その年分のその年分の納税者の合計所得金額が2,500万円を超える場合 …0円
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 出典:財務省「平成30年度税制改正」(平成30年4月発行)5ページ

 このため、今回のご相談の場合、不動産所得が3,000万円以上あるとのことですので、上記の改正内容に従い基礎控除額が0円になったものと考えられます。

[参考]

 所法86、財務省「平成30年度税制改正」など

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