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離婚による財産分与を行った人への所得税の課税関係

2021/11/01

[相談]

会計事務所の新人職員です。

担当している会社の社長夫妻の離婚が成立し、社長(元夫)は元妻へマイホームを財産分与しました。

この件に関し、その財産分与を行った社長(元夫)には経済的利益がないことから、所得税の課税は行われないとの認識でよろしいでしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の財産分与については、譲渡所得課税が行われることとなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.離婚による財産分与として不動産の移転があった場合の課税関係

民法では、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」と定められています。

所得税法上、民法の規定による財産分与による資産の移転については、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であることから、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額によりその資産を譲渡したこととなるものとして取り扱われています。

したがって、今回のご相談の場合、離婚による財産分与により元夫から元妻への不動産(マイホーム)の移転が行われたことから、財産分与をした元夫に対して譲渡所得課税が行われることとなります。

2.その他留意すべき事項

離婚時の財産分与による資産の移転は贈与ではないため、所得税法上のみなし譲渡課税の規定は適用されません。

また、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例については、その適用対象となる譲渡から、その個人の配偶者その他のその個人と一定の特別の関係(※)がある者に対してする譲渡が除かれることと定められていますが、離婚による財産分与は配偶者への譲渡には該当しないことから、他の要件を満たしていればその特例を適用することが可能となります。

※特別な関係には、生計を一にする親族、家屋の譲渡後その譲渡した家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人などが該当します。

[参考]

民法768、所法33、59、措法35、措令20の3、所基通33-1の4など

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