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さかのぼって受給した公的年金収入の帰属時期

2022/06/01

[相談]

私は令和4年中に65歳になりますが、会社の定年再雇用制度を活用して、65歳以後も働き続ける予定です。

このため、公的年金については「繰下げ受給」を行うことを検討しているのですが、仮に、まとまった資金が急に必要となった等の事情で繰下げ受給をすることをやめ、過年分の公的年金をさかのぼって受給した場合、所得税法上、その受給した公的年金はどの年分の収入金額となるのでしょうか。

[回答]

ご相談の場合、さかのぼって受給した公的年金は、それぞれ本来の支給期日の属する年分の収入金額となります。

[解説]

1.公的年金の繰下げ受給制度の概要と課税関係

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、本人の希望により、本来の受給開始年齢(原則:65歳)よりも遅い時期に受け取ることができます。これを「繰下げ受給」といいます。

この繰下げ受給の上限年齢は、法改正により、令和4年4月から75歳に引き上げられました(改正前は70歳。ただし、昭和27年4月1日以前生まれの人を除きます)。

なお、繰下げ受給を行って、仮に、75歳時点で公的年金の受給を開始した場合には、年金月額は84%増額されます。この増額率は生涯変わることはなく、繰下げ受給によって増額された年金は、繰下げ請求した月の翌月分から受け取ることができます。

また、所得税法上、公的年金についてはその年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を差し引いた残額が雑所得として所得税の課税対象となると定められているため、繰下げ受給を行った場合には、繰下げ受給の開始後から雑所得が生じることとなります。

2.さかのぼって受給した公的年金収入の所得税法上の取扱い

所得税法上、何らかの事情により複数年分の公的年金をさかのぼって一括して受け取った場合には、その一括受給した公的年金等は、それぞれ本来の支給期日の属する年分の収入金額になるものとして取り扱われています。

今回のご相談の場合は、上記1.の繰下げ受給を行うのではなく、本来の年金をさかのぼって受け取ることとなるため、その受け取った年金は、実際に受け取った年分ではなく、本来の年分(過去の年分)の収入金額として、それぞれの年分の収入金額となります。

[参考]

所法35、所基通36-14、国民年金法26、28、厚生年金保険法42、44の3、厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」、日本年金機構「老齢年金ガイド」など

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