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高年齢雇用継続基本給付金への所得税の課税の有無とその法的根拠

2022/01/04

[相談]

 会計事務所に勤務する者です。
 このたび、私の担当先企業の従業員が定年再雇用されることとなりました。
 それに伴い、その従業員は雇用保険の「高年齢雇用継続基本給付金」を受給することとなったのですが、この点について、その企業から「高年齢雇用継続基本給付金に所得税は課税されるのか」という質問を受けました。
 所得税法を調べたのですが、この点について規定した条文を見つけることができませんでしたので、その有無について根拠法令とあわせて教えてください。

[回答]

 雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金については、所得税法ではなく、雇用保険法の規定によって所得税は課税されないことと定められています。

[解説]

1.高年齢雇用継続基本給付金とは

 雇用保険法上の「高年齢雇用継続給付」とは、高齢化の進む中で、働く意欲と能力のある高年齢者について、60歳から65歳までの雇用継続を援助・促進することを目的に創設された制度です。

 高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類がありますが、このうち、高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に対して支給対象月に支払われた賃金の額が、その被保険者の60歳時点の賃金の75%未満に低下している場合に、原則として、その支給対象月に実際に支払われた賃金の最大15%相当額を給付金として支給するという制度です。

 高年齢雇用継続基本給付金を受給するためには、初めて給与が低下した月から4ヶ月以内に、事業主がハローワークに受給資格確認と初回支給申請を行う必要があります(初回申請後は、2ヶ月ごとに支給申請書を提出することとなります)。

2.高年齢雇用継続基本給付金への課税の有無

 高年齢雇用継続基本給付金に所得税が課税されるかどうかについては、所得税法にはその規定はなく、雇用保険法によって定められています。

 雇用保険法上、高年齢雇用継続基本給付金は、「失業等給付(求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付)」のうちの1つとして定義されています。

 その失業等給付については、雇用保険法において「租税その他の公租公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。」と定められています。

 したがって、今回のご相談の高年齢雇用継続基本給付金については、所得税は課税されないこととなります。

[参考]

 雇用保険法10、12、61など

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