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休眠会社における法人税の申告義務

2021/12/01

[相談]

私はITサービスを提供する会社を経営しています。

このたび、私は、病気のため長期間の療養が必要との医師の診断を受けたことから、当面の間、代表取締役としての職務の執行ができない状態となってしまいました。

当社には私以外の従業員はいないため、私の体調が回復するまでの間は、会社を休業(休眠)状態にしたいと考えています。

そこでお聞きしたいのですが、

①法人税法上、会社の事業年度の途中(今回の場合は、事業年度開始から6ヶ月目)で、(株主総会の決議を経た上で)私の役員給与を減額することが可能かどうか

②会社を休眠状態にした場合、休眠状態となった年度の翌年度以降の法人税申告を行う必要があるのかどうか

について教えてください。

[回答]

ご相談の役員給与の改定は、「臨時改定事由」によるものと考えられることから、役員給与の減額は可能と考えられます。また、休眠状態の会社であっても、法人税の申告は通常通り行う必要があります。

[解説]

1.役員給与の支給に関する法人税法上のルール

法人税法上、役員給与については、その支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとであり、かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であること(「定期同額給与」であること)などの要件が定められています。

また、(通常の場合の)役員給与の改定については、その事業年度開始の日から3ヶ月以内に行う必要があることなどの要件も定められています。

さて、今回のご相談のように、病気によりやむを得ず代表取締役としての職務が執行できなくなったために事業年度の途中(事業年度開始から6ヶ月目)で役員給与を減額するようなときは、それが事業年度開始の日から3ヶ月経過後の改定であったとしても、「臨時改定事由」に該当するものとして、役員給与の改定(減額)が認められることとされています。

したがって、今回のご相談における役員給与の減額は可能(減額前、減額後の各月の支給額はいずれも損金算入できる)であると考えられます。

2.休眠中の会社における申告の必要性

法人税法上、内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づきその事業年度の課税標準である所得金額その他一定の事項を記載した申告書(確定申告書)を提出しなければならないと定められています。

さて、今回のご相談のような休眠会社については、法人税の申告をしなくてもよいというような法人税法上の定めはありませんので、通常の場合と同様に、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に法人税の確定申告書を提出する必要があります。

なお、2事業年度連続して期限内に申告書の提出が行われなかった場合には、その2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、青色申告の承認が取り消されることとされていますので、くれぐれもご留意ください。

[参考]

法法34、74、127、法令69、国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」など

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