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贈与税の配偶者控除

2021/06/15

Q.今月のご相談

 親から子へ贈与した場合には、贈与税率が軽減されると聞きました。その他、親から子への贈与には将来の相続税との課税の選択ができる相続時精算課税制度があるとも聞いています。このように親子間の贈与では、色々な特例が設けられているようですが、夫婦間での贈与について、税を優遇してもらえるような特例はないのでしょうか?

A-1.ワンポイントアドバイス

夫婦間の贈与で適用できる特例として、「贈与税の配偶者控除」があります。

A-2.詳細解説

1.贈与税の配偶者控除とは

 贈与税の配偶者控除とは、夫婦間で、居住用の不動産又は居住用の不動産を取得するための金銭(以下、居住用不動産等)を贈与した場合、110万円の贈与税の基礎控除以外に最大2,000万円を控除することができる特例です。すなわち居住用不動産等については、最大2,110万円まで贈与税がかからずに贈与をすることができます。

【制度の主な適用要件】

1.贈与をする時点で、婚姻期間が20年以上である夫婦間の贈与であること

2.贈与を受けた財産が、受贈者が居住するための不動産又は居住するための不動産を取得する金銭であること

3.贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その不動産又はその金銭で取得した不動産に、受贈者が居住し、その後も引き続き住み続ける見込みであること

2.制度の適用を受けるには

 この制度の適用を受けるには、以下に記載した一定の書類を添付した贈与税の申告書を、税務署へ提出する必要があります。提出期限は、原則として贈与を受けた年の翌年3月15日ですが、この期限から遅れても申告を行う(期限後申告をする)ことで適用を受けることができます。

【申告時に必要となる主な添付書類】

1.戸籍謄本又は抄本(贈与後10日を経過した日以後に取得したもの)

2.戸籍の附票の写し(贈与後10日を経過した日以後に取得したもの)

3.居住用不動産の登記事項証明書等、受贈者が取得したことを証するもの

 この特例を適用した贈与は、夫婦間で財産を分散させ、将来の相続税負担を軽減させるための対策として、広く検討されています。また、相続開始前3年以内の贈与であっても、配偶者控除額に相当する部分は相続財産に加算する必要がありませんので、場合によっては相続直前の対策として、非常に高い効果を発揮します。

 ただし、同じ配偶者からの贈与については一生涯に一度しか適用できない他、贈与後の不動産に係る税金(不動産取得税、登録免許税等)や、受贈者が贈与後に死亡してしまった場合など、留意点もございます。

<参考>

 相法21の5、21の6、相規9、措法70の2の4、国税庁HPタックスアンサー「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」など

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