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配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

2022/01/04

[相談]

 30年前、父が建売住宅を購入して、そこに家族で住んでいました。弟はすでに独立し、長男である私は結婚後に、この家をリフォームして現在二世帯で暮らしています。

 先月、父が死亡し、これから遺産分割協議をするのですが、母が死亡した後の相続を考えると、この家は母が存命の間に私が相続しておきたいと考えています。とはいえ、母としても何かあったときにこの家から追い出されるのではないかとの懸念もあるようなので、配偶者居住権を設定しておきつつ、建物と土地は私が相続することでどうか、と提案したところ、母から了承を得ました。弟には弟の相続分も考えて伝えたところ、母がいる手前か、概ね了承してくれています。

 この相続によって相続税がいくらかかるのか試算したいのですが、仮に私がこの土地建物を相続した場合、相続税評価額はどうやって計算するのでしょうか?

[回答]

 まず、建物部分については、建物全体の相続税評価額から配偶者居住権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。土地部分も同じく、土地全体の相続税評価額から敷地利用権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。なお、土地部分については一定の要件を満たした場合、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

[詳細]

1.配偶者居住権・敷地利用権とは

 配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に、相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

 この配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合、その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して、配偶者が相続等により取得したものと考えられています。この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

2.配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

 ご相談のケースで、お父様(以下、被相続人)が所有していた居住用の土地建物について、配偶者居住権・敷地利用権(以下、配偶者居住権等)を設定した上で相続した場合の相続税評価額は、それぞれ次の算式により計算します。

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 いずれも、まずは配偶者居住権等の価額を計算した上で控除することとなる点にご留意ください。

 なお、土地については、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。その点もあわせてご注意ください。

[参考]

 国税庁「「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」について(情報)」など

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