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有限会社の役員変更 ~定款の変更も必要?~

2021/04/15

[相談]

 Aさんは有限会社の代表取締役です。長男に会社を譲り引退することを決意し、会社の登記簿謄本と定款をあらためて見直したところ、気になる点が見つかりました。ひとつは、役員欄に登記されている住所が引っ越し前の住所であること、もうひとつは、定款に「当会社の取締役は、A(社長)、B(社長の弟)とし、代表取締役をAとする。」という条文があり、直に名前の記載があることです。

 Aさんはどのような手続きをすればよいでしょうか。また、気を付けることは何でしょうか。

[回答]

 有限会社の場合、代表取締役でない平取締役や監査役も、住所まで登記がされます。したがって、引越しなどで住所に変更があった場合には、登記を変更する必要があります。変更後2週間以内に登記をする必要がありますので、Aさんのお引越しが何年も前である場合、登記懈怠による過料が課せられる可能性があります。

 有限会社の場合、役員を直接定款の条文で定めているところが少なくありません。このような場合は、役員を変更すると同時に、定款の変更が必要になります。

 定款の変更は、事業目的に変更があったときや会社名を変更したときなどにも必要となってきますが、定款の変更には、株主総会の特別決議が必要となるため、注意が必要です。有限会社の特別決議は、株式会社と比べて大変厳しいものになっているためです。

 決議が成立するためには、「総株主(頭数、人数)の半数以上の賛成」かつ 「総株主の総議決権数の4分の3以上の賛成」が必要です(整備法14条3項、会社法309条2項)。
 この要件については、定款で加重することはできても、軽減することはできません。半数の株主様の賛成があっても、総議決権の4分の3以上に足りなければ決議は成立しません。例えば、次のようになります。

(例)
 株主7名、発行済株式総数60株
 社長20株、社長の妻5株、長男5株、社長の母10株、
 社長の弟10株、社長の弟の子5株、社長の妹5株

 上のような株主構成の場合、4名以上が賛成し、45株以上の賛成が必要となります。

 ・社長、社長の妻、長男、社長の母が出席しても、議決権数が足りないので成立しません。 
 ・社長の母、社長の弟、社長の弟の子が出席し、賛成しても、成立しません。
 ・社長の母、社長の弟、社長の弟の子、社長の妹が出席し、賛成しても、議決権数が足りないので成立しません。

 なお、定足数はなく、出席人数のしばりは特にありません。

 株が分散している場合、長男に会社を譲るために必要な諸決議を行えない可能性も出てきます。株主構成の見直しも併せて行われてはいかがでしょうか。

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